都庁の仕事
(各局紹介)
産業労働局では、「中小企業の活性化や資金調達」「食の安全・安心」「ライフ・ワーク・バランス」など、ニュースでもよく耳にするこれらの問題をはじめとした、産業や労働に関するさまざまな課題に対し、商工、金融、産業・エネルギー、観光、農林水産、雇用就業の6つの分野で次のような取組を行っています。
現在、都内には、約42万社の企業があり、このうち99%は中小企業です。都内経済の活性化のためには、多様な事業活動を通じて地域の経済を支え、東京の原動力となっている中小企業の持続的成長と発展が不可欠です。このため、商工部では、創業支援や、販路開拓支援、生産性向上支援、商店街振興など、都内中小企業の幅広いニーズに対応した施策を展開しています。また、デジタル化や脱炭素化などの社会変容を捉えた施策を大胆に展開し、中小企業者の活性化や成長につなげています。
中小企業の安定的成長には円滑な資金調達が不可欠です。そこで、金融部では、関連機関が協調して資金を提供する東京都中小企業制度融資のほか、中小企業の所有する動産や債権などを担保とするABL制度、地域の金融機関との連携による金融支援といった都独自の融資制度や、女性・若者・シニア層の地域に根差した起業・創業を促進するためのサポート事業などにより、中小企業の資金繰り支援を行っています。また、クラウドファンディングという仕組みの活用を支援することで、創業やソーシャルビジネスなどへの挑戦を促進しています。さらに、貸金業法などに基づく貸金業者の登録や指導を通じて、貸金業者の業務の適正な運営を確保し、資金需要者などの利益の保護を図っています。
世界的な脱炭素化の流れの中で、都は、2050年にCO2排出量を実質ゼロにする「ゼロエミッション東京」の実現を目指して取組を進めています。
産業・エネルギー政策部では、国・大企業とも連携し、産業政策としてのエネルギー施策を推進しています。省エネルギー対策やエネルギーマネジメント等の推進、再生可能エネルギーの導入拡大、走行時にCO2等を排出しないゼロエミッションビークルの導入促進、水素エネルギーの活用など、各分野で事業者の取組を後押ししています。
また、昨今の電力需給ひっ迫に対し、事業者への情報共有と協力の呼びかけを行うため、電力を「Ⓗ減らす、Ⓣ創る、Ⓣ蓄める」、HTTを推進しています。
観光産業の振興は、旅行業をはじめ、交通機関や宿泊業、飲食業など幅広い業種に経済的効果や雇用の創出を生み出すなど、地域の経済や社会の活性化には欠かせない取組です。
このため、観光部では、国内外へのプロモーションや観光関連事業者への支援、東京ならではの観光資源の開発など、観光産業の振興に資する幅広い施策を展開しています。また、デジタル化の急速な進展やサステナブルな旅行への意識の高まりなど、新たな旅行ニーズに対応した施策にも積極的に取組むことで、世界一の観光都市・東京の実現に取り組んでいます。
小笠原諸島(世界自然遺産)
東京の農林水産業は、大消費地に近い立地条件を活かし、多種多様な農林水産物を生産しています。また、その生産資源である農地や森林、海などは都民が身近に自然と親しめる貴重な場でもあります。農林水産部では、農林水産業の生産振興や基盤整備を進め収益性などの向上を図るとともに、教育・レクリエーションの場の提供や地球温暖化対策への貢献など、潤いのある豊かな都民生活の実現に努めています。特に、食の安全・安心の確保、都市農地の保全、水産資源の回復、森林の整備と林業の再生などに重点的に取り組んでいます。さらに、島しょ地域の基幹産業として振興を図っています。
東京都食育フェア
都民のさまざまなニーズに応え、雇用・就業の促進を図る取組を行っています。仕事に関するワンストップサービス機関である「東京しごとセンター」において、キャリアカウンセリングやセミナー、能力開発など、きめ細かな就業支援を行っています。また、「都立職業能力開発センター」での公共職業訓練や民間企業と連携した職業訓練を通じて、東京の産業を支える人材を育成しています。さらに「労働相談情報センター」では、労働問題に関する相談やセミナー等を通じて労働者・事業主の方を支援しています。これらに加えて、デジタル人材の確保・育成支援や男性の育業促進など、雇用情勢や時代のニーズに対応した支援を柔軟に展開しています。
公共職業訓練「木工技術科」
CONTENTS
令和6年3月時点
東京育ちの私は幼少期から都内で川遊びや魚釣りを楽しみ、その経験から魚に興味を持ち大学では水産を学びました。卒業研究では魚の大きさと繁殖行動の関係性について潜水を用いた調査に取り組み、フィールドワークの経験を活かせる水産分野の試験研究の仕事を志望しました。東京都は大都市でありながら、河川や島しょなど豊かな水辺を持ち合わせていることに魅力を感じ、故郷である東京の水辺や水産業について、より多くの人に知ってほしい、また自分自身もより詳しくなりたいと思い、東京都職員を志望しました。
島しょ農林水産総合センターでは、奥多摩から小笠原まで広範囲の水産資源について試験研究を行っており、私は多摩川の調査を担当しています。漁業者や釣り人からの関心が高いアユについて、春に海から川へ遡上する稚魚や、秋に川底に産み付けられた卵を調査し、毎年の資源状況を漁業者へ報告しています。また、河川水中のDNAを検出して魚類の分布を調べる環境DNA調査など、様々なアプローチから資源を持続的に活用するための研究に取り組んでいます。その他、河川に生息する魚類相のモニタリング調査や、地域や学校の親水学習への派遣講師対応なども行っています。
前所属の大島事業所では、魚介類のすみかとして重要な海藻類の資源状況を把握するため、新たに藻場の面積を調査するという課題がありました。そこで、他県や国の機関の先行研究を学び、大学へ意見収集に行き、ソナーとドローンを用いた海藻類調査手法の開発に取り組みました。荒い海底地形など離島の特殊な環境から、先行事例と同じ方法では海藻が検出できず困難がありましたが、試行錯誤の末に一定の精度で藻場の面積を求められるようになりました。課題解決のため研究の計画から取りまとめまで事業を担当し、成果が得られた際は達成感がありました。
貝類や海藻類の調査では潜水作業を伴いますが、私は大学時代の研究でも潜水調査を行っていたため、その点は即戦力として業務に活かすことができました。また、課題解決のため調査計画を立てる際や、フィールドで得られたデータからどのようなことが読み取れるか考える際は、大学院で研究に専念した経験が活かされていると思います。その他、異動により所属が変わると取り扱う魚種や分野が大きく変わるため、大学の講義や実験で水産の基礎を一通り学んだ経験が下地として役に立っていると思います。
漁業者と意見交換をすると、どうすれば多摩川により多くのアユを遡上させられるか、鳥や外来魚による食害の影響はどうかなど、様々な調査の要望を受けます。要望に応えられる調査結果を得ることは容易ではありませんが、自分たちの活躍を求められていることや、まだまだ多くの課題があることは、業務のモチベーションになります。論文を読んだり全国会議に出席して情報を収集したり、少しでも多くの課題を解決できる調査を立案、実行できるよう知識や経験を身につけていきたいです。
出勤、機材を準備して調査現場へ移動
河川調査、採水、水質測定、魚類採集など
昼食、別の調査地点への移動
調査再開~調査終了
帰庁、機材の清掃・整理
持ち帰ったサンプルの測定、データの入力作業、メール電話対応
退勤
令和5年3月時点
就職活動を始める際に「人の役に立つ仕事がしたい」という思いから公務員になりたいと思っていました。中央省庁や出身県も選択肢にある中で、東京都に興味を持ったきっかけは都庁セミナーに参加したことです。セミナーの中で林業職の方の話を聞き、多摩地域と島しょ地域それぞれの森林に関わりながら、異なる環境で働くことができることを知りました。また、日本の首都である東京都で林業という産業をけん引していきたいという思いから最終的に東京都を選びました。
私が所属する森林課では、持続的な森林整備と林業振興を図るため、森林計画、造林・間伐、林業労働力、木材の利用・流通、林道の整備、治山など多岐にわたる事業を行っています。私は、林業の現場で働く方々への支援や、花粉の少ない森づくり運動に関する業務などを行っています。具体的には、林業を担う方々がいかに仕事を続けていくことができるのか、どういう支援を行うことでより続けやすくなるのかなどを考え、施策を検討しています。また、花粉の少ない森づくり運動に関する業務では、政策連携団体である(公財)東京都農林水産振興財団と協力して、花粉が飛散する時期をメインに都民の方へのPR等を行っています。
大学では、農学科で植物生態学を中心に勉強し、植生管理などを研究していました。林学を専攻していたわけではなかったので、働き始めてから知ることの方がたくさんありました。また、担当業務によっては関係する法律が異なり、一から勉強することもあります。ですが、大学の農業インターンシップで感じた森林の重要性や、フィールドに出て実際に調査・研究したこと、土壌や植物生理に関する基礎知識などは仕事をするうえで知識として役に立っています。専攻が異なっていても繋がるものはあると改めて感じています。
東京の森林・林業に関する部署には、現場に近い部署や、本庁のように施策に関わる部署があります。現場に近い時には、実際の作業をしている方とコミュニケーションがとれたり、自分自身で作業や調査を発注した結果がわかったり、イベントへの反応を肌で感じたりなど、目に見える成果が多く、やりがいを感じることが多かったです。本庁ではそのような現場の方々を考えながら、実際に事業を行う部署と施策を企画立案しており、また違ったやりがいがあります。今後は林業という産業を俯瞰的に見られる幅広い仕事をしていきたいと考えています。
出勤
メールをチェックし、1日のスケジュールを確認
関係部署への対応・電話でのやりとり
会議資料作成
昼食
各種調査への対応
会議資料のチェックと修正
補助金に関する事務処理
委託業務の書類確認
退勤
令和4年3月時点
証券会社やアセットマネジメント会社で、商品開発や運用管理を行っていました。
リーマンショック後、勤務先の清算、グループ企業への転籍、更に買収・合併といった怒涛の経験をし、転職を視野に入れるようになりました。そうした中で東京都のキャリア活用採用を知り、それまで公務員という選択肢は考えたことがなかったのですが、民間勤務経験を都政に活かして生まれ育った故郷である東京に貢献できることに強く惹かれ、応募しました。また、仕事と育児の両立がしやすい点も魅力的に感じました。
金融部では、国の枠組みをベースとした東京都中小企業制度融資のほか、様々な特色のある独自融資制度を通じて中小企業の資金調達支援を行っています。その中で、地域の金融機関や民間保証機関と連携した都独自の融資制度を担当しています。日々の運営管理や予算決算等といった事務のほか、事業者の方や金融機関などにニーズをヒアリングし、制度の企画・改善に努めています。
前職では主に機関投資家向けファンドの商品開発やパフォーマンス分析、モニタリングなどを行っていました。現在は融資制度の担当をしていますのでジャンルは異なるのですが、金融業界の知識はそのまま活かせますし、顧客のニーズに合わせた金融商品作りを行ってきた経験は、使い勝手のよい融資制度の企画・改善に活かせています。また金融機関との折衝・調整においても、民間時代の感覚を活かすことで双方の立場や考えを理解できるため、スムーズに対応することができます。
業務を通じて、微力ながら都の産業振興に役立てているという実感があります。民間企業でもお客様のことを考え社会貢献するというミッションは同じですが、より広い視野で様々な角度から支援できることにダイナミズムを感じます。一方で、例えば売上目標や収益性、運用パフォーマンスといった数値や指標で仕事の成果を測ることが難しく、本当に都民の皆様に満足して頂けているのか、都政に役立てているのかと思い悩むこともあります。行政の仕事をどのような指標でどう評価していくのか、自分なりの答えを見つけることが今後の目標です。
出勤
メールなどをチェック
保証機関から毎日報告される申込データを確認
金融機関からの電話相談などに対応
昼食
金融機関に訪問し、利用状況や中小企業の動向などをヒアリング
帰庁し、訪問記録を作成
退勤
令和4年3月時点
学生時代に都内の酪農場で実習をした経験から、東京の畜産に興味を持ちました。東京の畜産農家は、臭気対策等の環境保全に苦慮しながらも高品質な畜産物を生産しています。しかし、東京に畜産業があることを知らない消費者も多く、もっと東京の農畜産物の良さを知ってもらいたいと思うようになりました。卒業後は乳用牛の飼養管理を経験した後、乳製品販売の会社に勤めていましたが、東京の生産者と消費者とつなげるような仕事がしたいと考え、入都を希望しました。
農業改良普及センターでは、農業者の経営改善や技術向上、担い手育成等を目的とした普及指導を行っています。都の職場の中では、農家の経営改善と地域の農業振興の両方に深く関わる、少し特殊な仕事です。私は、南多摩地域の畜産農家を対象に、技術講習会の開催、後継者の技術指導や堆肥流通推進支援等に取り組んでいます。南多摩地域は、酪農後継者や6次産業化に取り組む生産者が比較的多く、これからが楽しみな地域です。事業導入支援や技術指導においては、市やJA、畜産関連機関等と仲立ちとなることもあり、地域農業のコーディネーター的役割も担っています。
大学で学んだ畜産学の知識が、現在の仕事や技術習得の土台となっています。長期休みに自主的に農場実習をさせていただいたのも、畜産現場の一事例を学べる良い経験でした。また、働きながらも勉強の連続です。卒業論文に取り組む上で身につけた先行研究の検索方法、理論や研究計画の組み立て方などは、技術の先行事例を学んだり、新たな技術を現場に導入する際の効果検討の計画作成に役立っています。
農業者の課題に寄り添い、解決策を考え、その成果を共に喜べることがなによりのやりがいです。東京の畜産農家は小規模で戸数も少ないですが、その分、個々の農業者とじっくり向き合うことができるのが東京都の魅力です。農業者の抱えている課題の本質を見極めて、地域全体を俯瞰し、適切な支援を行えるように励んでいます。経営全体を見ながら畜産農家の所得向上につながる技術指導ができるようになりたいので、生産技術の習得に加え、農業経営やマーケティングの勉強にも取り組みたいと考えています。
出勤
メールチェック
指導資料作成・巡回指導準備
管内畜産農家を巡回指導
昼食
後継者の技術講習会
帰庁、指導記録の作成
次回指導に向けた資料作成、関連機関への照会等
退勤