建設局/小石川後楽園 世界に誇れる「おもてなし」の場として、あるべき姿に復原し未来に継承していく。

全国でも有数の、
歴史的価値が高い庭園。

東京都は中長期計画「2020年の東京」を定め、「水と緑の回廊で包まれた、美しいまち東京を復活させる」という目標に向けて、今後10年間で170ヘクタールの都立公園の新規開園や、道路・河川・公園の一体的な整備等をすすめている。さらに、首都にふさわしい美しい都市景観を創出し、東京の価値を高めるため、戦災などで失われた文化財庭園の建造物の復元等を推進し、「東京の顔」づくりをすすめている。現在、東京都にある都立公園は81カ所。そのうちの9カ所は国や都の指定文化財となっている。そのひとつである「小石川後楽園」は徳川光圀の時代に水戸藩邸敷地につくられた大名庭園だ。特別史跡・特別名勝に指定されている歴史的価値の高い庭園であり、特に力を入れて整備が進められている。

文化財としての価値に配慮しながら、
慎重に修復していく。

「小石川後楽園」では、平成22年から本格的な保存修復事業に取り組んでいる。修復の対象箇所は、17世紀後半、明の儒学者「朱舜水」が設計したと言われる石造アーチ橋「円月橋」や、庭園の創設期から現代に伝わる貴重な木造建造物「得仁堂」、庭園景観の中核をなす池(大泉水)の護岸修復など、歴史的価値の高いものばかり。このため、どの修復工事も慎重に行われている。石材の傷みが進行していた「円月橋」は、一つ一つの石材をクレーンと石工が連携して慎重に取り外し、損傷状況を調べカルテを作成。一時的に保管庫に移して、修復の方針をまとめた上で精巧な修復が行われた。また歴史的建築物である「得仁堂」は、現状維持的修理を原則とし、慎重に修復が進められている。修復と同時に調査も行い、歴史的変遷も検証するという意義深い仕事だ。園内を歩くと、池の護岸を修復するため、池にイカダを浮かべて手作業で資材運搬が行われていた。庭園としての景観を守り、来園者の快適で安全な利用を確保するためである。このように、庭園の修復にはきめ細かい施工や配慮が行われている。

様々な専門家との協力が
欠かせない仕事。

都の職員の仕事は、修復工事の計画から実施まで、全ての行程をマネジメントすること。「円月橋」の修復工事を例にとると、予算要求、現地測量や破損状況の基礎調査、修復方針の作成、文化財保護法に基づく文化庁との協議、解体工事の設計積算や工事監督、工事見学会の開催や事業パンフレットの作成など一連の業務を担当者(造園職)が担っている。また、庭園の修復事業は、専門的な見地から慎重に検討を加えながら作業を進めるため、多くの人の協力がなくては成し得ない仕事だ。考古学や歴史学、建築学などの専門家や、文化庁、教育庁の職員などを含めたメンバーで行う専門分科会は、修復方針や工事の進め方を定めるための重要な場となっている。また専門家の先生に現場へ足を運んでいただき随時指導を受けることで、より的確に修復工事が進められている。先生方や関係者と意見交換を行い、事業に反映させる調整力や技術力が求められる仕事である。

※掲載内容につきましては、2013年9月時点のものです。